医療法人財団南葛勤医協

芝診療所

アスベストイメージ

Profile

Doctor FUJII Masami

藤井正實医師

芝診療所所長

 

出身大学
産業医科大学…1989年卒

主たる専攻科
産業認定医
呼吸器科

学会
日本呼吸器学会

 

アスベスト(石綿)とは

世界的には紀元前から、日本では江戸時代頃から使われていますが、使用量が1960年代から
急激に増えて70年代・80年代には年間25~35万tを輸入していました。その用途は
多岐にわたりますが、9割は建築材料として使用されています。
ほかにも自動車のブレーキの摩擦材や電線の被覆材や断熱材と3千種以上あり、
多種多様です。それは、摩擦に強くて摩耗しづらく、熱や酸にも強く、電気を通さず、
加工もし易い上に天然資源なので安価であることが理由です。
75年までは、学校・ビル・工場などの鉄骨に耐火被覆としてアスベストの吹き付けが
義務付けられていましたので、すべてのビルにアスベストが存在します。
大きなものは気道にひっかかり肺まで到達しませんが、小さなものは肺に到達して
アスベスト被害の原因となります。

石綿

6種類ありますが、日本では「蛇紋石」系の白石綿が90%以上を占め、
その他「角閃石」系の茶石綿と青石綿の3種類が主に使用されていました。
青石綿は1970年代には発がん性を指摘されており茶石綿とともに1995年に輸入が
禁止されました。

アスベスト規制の経過

1986年:国際労働機関(ILO)で青石綿の原則禁止を盛り込んだ石綿条約を採択。
1989年:国際保健機関(WHO)で青石綿と茶石綿の使用禁止。
1992年:日本石綿協会が93年6月から使用禁止を決定した。
1995年:日本政府の青石綿と茶石綿の使用禁止。
2004年:10月、日本政府による石綿の原則使用禁止。

アスベストによる被害

アスベストによる被害は大きく分けると以下になります。

職業性肺がん

曝露から20年前後から発生。肺がんの発生率はアスベスト曝露で一般の5倍。
喫煙が重なると50~60倍に。

悪性中皮腫

アスベスト曝露以外ではほとんど発生しない。曝露後20~30年以上で発生。

胸膜炎

曝露後20年以内で最も多い。胸膜に炎症が起き、胸に水がたまり、癒着を起こす。

びまん性胸膜肥厚

胸膜炎後に起こる。肺と胸膜が広範囲に癒着し、呼吸困難になる。
アスベスト吹き付け作業で起こりやすい。

胸膜肥厚斑

短期間の曝露でも発生する。家族も間接曝露で発生することも。自覚症状はない。

石綿肺

じん肺の一種で、進行性。肺組織が硬い繊維に置き換わり、ひどい呼吸困難に陥る。

アスベストと職業性肺がん

職業性肺がんは吸う量が多いほど発症しやすくなりますが、極少量でも発症する可能性があります。悪性中皮腫も同様です。作業衣等を介して家族や工場近辺の住民も危険性が伴います。  アスベストを吸ったことによる特徴的な変化として、胸膜肥厚斑が発生します。肺を覆う胸膜が部分的に厚くなり、胸部レントゲン撮影とCT画像から診断します。

 短期間・少量の曝露でも発生することがわかっています。職業性肺がんの検討からは、80%以上の方に存在しますが、3分の1程度しか胸部レントゲン写真では診断できません。

 胸膜肥厚斑は労災認定の重要な証拠ともなりえます。たとえば肺がんが見つかり、合併して胸膜肥厚斑があればアスベスト曝露が原因と特定できます。ところが、胸膜肥厚斑は見逃されやすく、職業性の肺疾患に詳しい医師でないと診断が難しいと思われます。

 そのために労災認定されずに埋もれてしまい、高額の医療費を自己負担しているケースが少なくないと思います。

 アスベストを取り扱った後20~40年後に健康被害が発生してくるので、1970年代から80年代の輸入量が多かった時期に使用した方々の健康被害が増加してくることが考えられます。

 アスベストを扱う職業に就いたことがあり、息切れなどの症状がある場合は受診することをお勧めします。肺がんの予後はアスベストによる職業性肺がんを含めて、一般的にごく早期をのぞいて悪いのが現状です。悪性中皮腫も同様です。

 自覚症状に乏しく、症状が出現して受診したときには進行していることも多いのです。

予防策として

■作業現場での規則を守らせること。
■アスベスト含有製品の使用を避けること。
■吸塵器をきちんと使用すること。
■防塵マスクは専用のもの、保護衣として全身を覆う使い捨てのものを使うこと。
■作業衣は軽く洗い、濡れた状態にしてアスベスト等の粉塵の飛散を防ぎ、
 作業場から持ち出さないこと。
■喫煙は発ガンの危険を相乗的に高めるので禁煙すること。
■早期発見・経過観察のためにも年1回の健康診断を受診すること。

 

などが必要です。中皮腫・じん肺・アスベスト外来は呼吸器科で藤井が担当しています。

じん肺・アスベスト関連リンク

■ 厚生労働省:アスベスト(石綿)情報

■ 環境省:アスベスト問題に係る政府の対策について

■ 国土交通省:アスベスト問題への対応について

■ 社団法人 日本石綿協会

■ 東京労働局:石綿(アスベスト)関連のお知らせ

■ 東京都環境局:東京アスベスト情報サイト

■ 東京労働局:建築物の解体工事に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル

■ 東京都生活文化局:くらしの安全情報サイト

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